2017年9月21日木曜日

やっつけ工作でもこれだけは守ろう。その1

始めに

IVRCやインタラクティブアート作品など、動く物を展示したい!でも〆切が近い!そんな時のやっつけ工作の時でも、不思議な不具合で悩んで時間を費やす事の無いようにこれだけは守っておいた方が良いというノウハウをまとめてみようと思います。多分シリーズ化して続きます。

ブレッドボードに刺してはいけないモノ

ブレッドボードは信頼性が低いので使わないに越した事はないのですが、どうしても頼ってしまうチームは毎年出ます。
ところでマイコンボードやセンサーボードに付属してくるピンヘッダをそのままブレッドボードに刺していませんか?ピンヘッダや、でかいトランジスタなど足の太い部品を刺したブレッドボードは再利用しないで下さい。そう、1回キリなのです。
大丈夫なものも有るようですが、サンハヤトなどのブレッドボードでは丸ピンヘッダ、や秋月の細ピンヘッダは刺せますが、ピンヘッダには対応できません。
太すぎるピンを刺すと、以下の写真のようにコンタクトが僅かに広がってしまいます。このコンタクトが広がってしまった穴に抵抗等足の細い部品を刺すと、接触不良を起こします。しかも、当初は動いていたのにちょっとしたきっかけで動かなくなるのです。
一般に電気回路においては、スイッチでもコネクタでも、ブレッドボードでも接点は錆びて導通しなくなります(錆びた金属はセラミックになって不導体になる)。ブレッドボードはコンタクトが強く挟み込むことで、錆を削り取って接点を復活させる仕組みになっています。このコンタクトのバネ性が弱くなると、部品を刺した当初は摩擦で錆が削り取られて導通するものの、押さえが甘いために時間と共に錆が復活しやがて導通しなくなります。

ブレッドボード・基板から出る配線は一旦近くに固定

ブレッドボード運用でよくあるのが、気が付かないうちに配線がぬけて動かなくなってしまっているというものです。なのでブレッドボードから出て行く配線は片っ端から固定する必要があります。お勧めの法法はブレッドボードをアクリル板なり木の板に固定して、その板に配線を固定する方法です。
 
配線は引っ張っても動かないようにしっかりと固定します。配線幅程度に間をあけた穴を2つあけて抵抗の足の切れ端などで固定すれば十分な事が多いです(太めの配線はちゃんとインシュロックなどで固定しましょう)。抵抗の足など金属線で固定する場合は、配線側には結び目をつくらず、板の裏側に結び目を持ってくるほうがしっかり固定できます。
ラジペンでしっかりと捻って固定しましょう。

ユニバーサル基板の場合は初めから穴が空いているので基板に直接固定できて便利ですね。基板を起こす時でも配線直結にするときは固定用穴があると便利です。
ちなみに配線をホットメルトグルーで固定する人もいますが、長期的な振動対策としては有効だとは思うのですが、作業中に配線にちょっと引っかけたという場合には大抵無力なので注意しましょう。

配線は曲率半径が命

基板やベースとなる板に配線を固定してもまだ安心できません、人間に取り付けるセンサー等、配線の先が動く場合、下の図のように直角に配線が引っ張られてしまうかも知れません。何度か繰り返せば簡単に断線します。 
例えば、ここで下の図のようにボルトがあったとします。同じ力で繰り返し左右に引っ張ってもボルトがあることで、曲率半径が維持され、断線の可能性が大幅に減ります。
回路を納める筐体を作る時や、ケーブルを保護する保護材を入れる時はこの曲率半径を稼ぐという事を意識してください。



半田付け〜配線が自然にねじ切れる場所〜

上の曲率の話とも絡むのですが、下の図のように半田付けがされた配線があって、繰り返し曲げられると断線する場所はどこでしょうか?
そうですね、半田付けされている所と、半田が流れていない所の境界線で断線しますね。硬い物と柔らかい物が連続しているとき、壊れるのは柔らかくなり始めた境界なのです。半田付けに限らずプラスチック板にビニール袋を固定して振り回しても同様です。
配線を半田付けで延長する事は時々ある事ですが、その際に半田付け部分を絶縁するだけではなく、ビニル被覆部分まで熱収縮チューブやビニールテープをまくのは、急激に配線の堅さが変わるのを防ぐ意味もあるのです。

圧着は専用工具で

半田付けは上のように、配線の堅さが急激に変わる事によって断線がしやすいという問題があります。なので普通はできるだけ圧着を用いるのですが、参加チームの中には圧着をしても「圧着しても引っこ抜けるので半田付けしている」というチームもいます。
折角の圧着の(半田付けに比べれば)断線しにくいという良さを殺しています。

以下の図は圧着の例です。コネクタの羽のような部分を巻き込んでビニル被覆の上から突き刺しています。まず抜けません。サイズの合わない圧着ペンチを使ったりすると、これが突き刺さずに単に左右からパタンと倒しただけの形状になり引っこ抜けてしまいます。
もう一つ、リングに通すタイプの圧着です。真ん中がしっかり圧着されコレも抜けようがありません。良くあるミスは中にいれる銅線の量が少なすぎるor多すぎる場合です。
圧着は素晴らしい接合方法ですが、「正しい工具」と「正しい銅線量」という二つを揃える必要があります。圧着コネクタは大が小を兼ねるという事は難しいので、予め各チームでよく使う配線材の太さを3,4種類決めて、それに対応するコネクタを選定しておくと便利だと思います。
ちなみに、私の工作は上の図の2本の圧着工具で事足りています。

さいごに

ということで、配線周りを中心にまとめてみました。電気系トラブルでは、断線・接触不良が2大原因なので、そこをさっくりやっつけましょう。


追記:圧着について
 絶縁圧着端子のほうが配線の曲率半径 の点でも、不意のショート対策の点でもおすすめです。必要な握力が普通の圧着端子よりも大きいので事前にテストを。
また圧着の良否に関して、自分の腕よりも工具の善し悪しがかなり大きいです。自分の圧着の腕を疑う前に、いろんな人の工具を試しに使わせてもらいましょう。

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