京都で行われる音楽フェス
西院ミュージックフェスの応募音源の管理から、パンフレットのスケジュール一覧作成までの概要をまとめます。10年ちかくやってちょいちょい改良されてきた手法なので同じく音楽フェスの事務をやる人の参考になれば幸いです。
やること
約450組のブッキング・選考ミュージシャンの中から音源を聞いて29会場・約230枠のスケジュールにあてはめていきます。ブッキングは単にスタッフが代理でミュージシャンの代わりに代理応募しているだけなので事務屋さん的にはブッキングも選考も区別はありません。これにさらにスポンサー広告やイベント情報を追加してパンフレットのできあがりです。パンフレットはスケジュール面担当、地図面担当の2人で行っており、私はスケジュール面作成のためのデータ整理などのアシスト作業をしていました。
パンフレット:スケジュール面
パンフレット:地図面
作成スケジュール
2016年の西院フェスの場合以下の様なスケジュールになっています。
- 1月 ミュージシャン募集開始、webや郵送での応募を開始します
- 3月 選考開始
- 3月31日 スポンサー締め切り
- 4月16日 スポンサー広告デザイン作業(大口スポンサーは5月中頃まで続く)
- 4月28日 ミュージシャン決定
- 5月7日 出演ミュージシャンへの連絡完了
- 5月7日 パンフレットスケジュール欄作成開始
- 5月7〜14日 時間の入れ替え
- 5月15日 スケジュール(ミュージシャン名・ジャンル)最終確認
- 訂正・確認作業(イベント関連だとか細々とした修正がちょいちょい入る)
- 5月20日 入稿!!
5月前半は大口スポンサーの広告についてデータが入ってきつつ、一度デザインに着手したスケジュールがちょこまかと変わる地獄を見ます。
西院フェスミュージシャン応募情報
応募情報は、パンフレットやwebに掲載する情報のほか、選考用の音源をWebに登録します。基本はミュージシャンに直接webで登録して貰いますが、webが使えない人のために郵送での代理登録も行っています。
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web応募画面 |
ちなみに郵送での登録は応募時点ではミュージシャン名と音源のみを手作業で登録して、応募用紙はカメラで撮影して画像として登録しています。選考で通過したミュージシャンのみ改めて後日メンバー表・webサイト・連絡先などをwebに登録しなおす省力化を行っています。
選考作業
選考作業は、主に選考担当スタッフが行いますが各会場担当もこういう人が欲しいという意見を出します。膨大な量の音源を聞く必要があるので、スマホで各選考スタッフが聞けるようにしてあります。どんな感じだからxx会場に合いそうというメモ書きが所々に見受けられます。
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選考画面(一部) |
選考画面では○△×の3段階で選別したあとに、「採用」を決定していきます。採用決定作業は枠にいれる作業になるので、一覧性をもとめて、大きな紙に手書きでやっています。いつもは穏和な選考スタッフたちが軽く殺気だって枠を埋めていきます。その後webのスケジュール管理画面にデータが入力されます。
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スケジュール入力画面 |
ここで入力されたデータはそのままお客さんが見るwebのスケジュール表示画面に反映されます。よくある、スケジュール変わったから「web担当の人更新しておいて!」がほぼ存在しません。(web担当も担当会場をもつ兼任スタッフなので、そんなに暇じゃない)
スケジュール作成での工夫
ようやく本題です。妻がパンフのスケジュール面担当、webのスケジュール管理システムは私が担当。ここが気持ちよく仕事できないと家庭内不和の原因になります。
スクリプトによる流し込み
すでに西院フェスWebからはJSON形式でスケジュールデータがダウンロード出来るようになっています。それを読み込ませてテンプレートのデザインに文字を流し込んでいきます。テンプレートは1時間後のスケジュールである右隣のデータの位置をデザインとして指定することで、時間軸に並んだ流し込みが出来るようになっています。
手作業でスケジュールをデザインする際に一番多いのは他人のジャンルを間違えて入れてしまったといった、コピペミス なのでそれが出ないだけかなり気が楽だとデザイナは言っています。
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テンプレート(右側はマージン計測用のデータ) | | |
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流し込み後のスケジュール(長い文字は被るので手動調整) |
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スケジュールデータ(JSON形式) |
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参考
スケジュール変更
西院フェスでは時間の都合上パンフレット作成中も出演ミュージシャンの微調整が行われます。こういった「変更」や「追加」の事を「訂正」と呼ぶとデザイナーがキレます気をつけましょう。
この変更をスムーズにやりたいのですが、一度流し込んだあとにフォントサイズ等の微修正が行われているので、再び流し込み直すのは難しいです。そこで以下の様な差分情報をデザイナーに提出するようにしています。
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差分の例 スペース区切りで左が元、右が変更後 |
スケジュールのJSONデータはその時々に取得したものを保存しておきます。パンフだけならパンフを変更する度に最新と一つ前のデータだけがあれば良いのですが、ポスターにも情報を流用していた等の理由で、急に0509と0519の差分が欲しいという要望が出たりするためです。
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各日付ごとのスケジュールデータ |
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差分はpythonのプログラムで実行しているので、デザイナが修正作業に入る直前に毎回差分データを作成しています。(
差分作成プログラム)
差分プログラムを作る前は、定期的に全部を確認してたのでかなり効率が悪かったのでだいぶ作業性が改善されました。
まとめ
パンフ作成までを一旦のゴールとして西院フェスの事務作業とその工夫を纏めてみました。230組もあると、どのミュージシャンのライブを見に行く?と選ぶのも大変ですが、その事務処理にもそこそこのノウハウが隠れています。こういった細々とした事務の効率化も考えてみると楽しいですよ。