なお、動画はIVRC公式YouTubeのものです。
2018年11月18日日曜日
IVRC2018決勝体験レポート
IVRC2018の決勝大会も無事全作品体験できました。なので、体験レポートを。
なお、動画はIVRC公式YouTubeのものです。
一人暮らしの部屋で、猫じゃらしでを使って家具をじゃらす体験。特にイスの動きが変態はいってる位にうごきまくる。また、他の家具をじゃらすと今までじゃらされていた家具が嫉妬の雨をふらせる等のマンガ的表現が印象的だった。手元のデバイスは自由には回転できる偏心錘がついており、しなる感じを呈示できていた。ただし、猫じゃらしというよりも、もう少し重たい感じのもの。
ガスバーナーで肘にある導火線に火をつけると、ブルブルふるえる何かが腕の中を通り、指先から花火として飛んでいく作品。リストバンドで圧迫しつつ、振動を加える。さらに複数のリストバンドをつけて順に振動位置を切り替えることで、皮膚下でなにかが震えて動いているように感じる(ファントムセンセーションにより、物体が連続的に移動していってるように感じる)。 映像と組み合わせて見ると自然に移動しているように感じるのがキーポイント。なお、バンドなどで圧迫した上で振動をあたえると体内の振動だと勘違いするのはIVRCではもはや伝統芸になりつつある。
火災現場で一酸化炭素を吸わないように、煙のある場所では息をとめて駆け抜けるゲーム。簡易CO2センサを口元において呼吸数を計測している。煙の多い所では一酸化炭素(CO)を吸ってダメージを受けるというシナリオになっている。VR歩行のためのデバイスを畳とシリコンワックスで実現している。歩行の方向、歩数は歩行デバイス内にしこまれた16個の磁気センサーとスリッパに貼られた磁石で検出している(方向別歩数カウント方式)。VR関係者にはこの歩行デバイスのデキの良さが高く評価されていた。また、面白い着眼点としてCO中毒の際にはめまいがする事と、VR酔いのめまいの類似点を利用して、COが多い場合にはわざと画面を揺動させVR酔いを発生させている。ほかにも視野がせまくなっていく、歩く速度が落ちるといった症状も再現していた。
ほふく前進でダクトの中をくぐりぬけ、爆弾を解体する作品。
ほふく前進は床のベルトを回して行うのだが、手袋の手首部分をつかって、かつ体重をかけないとちゃんと動けないという、匍匐前進を正しくしないと前に進めないシステム。また、移動中の傾斜にあわせて、台座の確度も変わる。爆弾解体失敗時には、パワフルな傾斜システムをいかして、土台を揺らし、スモークを焚く(HMDをしているので体験終了後のスモークにびっくりするというしかけ)。大きなシステムを比較的安定に動かしていたが、ダクト途中での分岐選択が矢印に選択になっている点が唯一残念だった。
星の王子様の点灯夫の話にインスパイアされた作品。空中にうかんだ島々の街灯に灯りを灯す点灯夫が落ちてしまわないように手前のブロックで助けてあげる作品。ブロックはプロジェクタの所に設置された、深度情報つきカメラ(RealSense)でその位置を取得している。実際にはブロックが作った影を点灯夫が歩く事になる。彼らはこの光と影の関係に着目しており、例えば人間がプロジェクタの光を遮って街灯を覆ってしまうと、せっかく点灯した街灯が消えてしまう。フランスちーむらしい、美しい描画の作品。
鼻を引っ張り、CGでも鼻を伸ばす事で、鼻がのびた感じを出す作品。予選の時にくらべ安定稼働するようになっていた。鼻でリンゴをつつくとコツンと鼻の根元に振動が来るのだが、人によってはうまくフィットしておらず何も感じ無い人もいた。また猫が鼻にじゃれついてくるシーンでは鼻が左右に揺さぶられる。たしかに猫のいるあたりで力を加えたんだろうなという感じはでているが、肌触りを感じ無いぐらい柔らかいもので動かされた感があった。ほかにも鼻の位置にあわせて匂いをかぐ機能など自然な体験ができるようになっていたのが印象的だった。なお、嘘をつくと鼻が温かくなるという研究に応じて、鼻部分に
セグウェイでビルの間に渡された空中の通路を渡っていく作品。予選にあった膝が震える機能にくわえ、振動スピーカー(Vp4)で偽の心拍(ドキドキ)を呈示して恐怖感をさらに出していた。また、以前は漠然とビルの間を走っている間があったが、今回は燃えさかり、倒壊しつつあるビル群からの脱出というシナリオに加え、それに相応しいCG描写が追加され、より没入しやすくなっていた。
アゴで像の鼻を操作する作品。以外に普通に操作できるようになってしまう。という事に加え、操作形態がアゴを上にあげると、鼻が遠くにいき、アゴを下にさげると(つまり口をあけると)鼻が口元まで近づく操作によって、リンゴをつかんで食べる事ができるようになっていたのが面白い設計だった。なお鼻による物体の吸引は呼吸によって行うが、呼吸はマイクに乗る呼吸ノイズから判定している。またアゴを左右にうごかして鼻を動かす事ができ、左右にうごかした際には鼻の根元が振動子「グギギっ」感をだしている(が、私はHMDのあたりが悪く僅かにしか感じ無かった、別の友人には凄いグギギ感があったらしい)。
頭にのせた植物から根っこが生える感覚を体験できる作品。まず鏡で頭に謎の植物が居るのを確認させてから、液晶モニタにある模式図を対応付けて見せるといった体験上の工夫がされていたりと、相当にデモンストレーションの練習をしたんだろうな。と感じさせた。水をかけると、ひんやりする。自分の体液が吸われるときは植木鉢もあったかくなるといった細かい演出もあるが、メインは頭に根っこがはえる感覚である。頭皮マッサージの器具に振動子が取り付けられている。頭に根っこが絡みついてくるゾワゾワ感がするのは予選とかわらないが、今回は風がふいた時に根っこが横にすべってしまう演出が素晴らしかった。根っこ(マッサージ器)は上下にしか動かないのだが、ぐるりととりつけられた振動子を特定方向のみ振動させることで、根っこが横に移動したかのような感じを生み出していた。使いどころはいまから見つける事になるが、応用範囲が広そうな錯覚であるとチームのメンバーも述べていた。
狼に噛まれることで、できた出血を体験する作品。出血のズキズキとした痛みを感じるのがメイン。予選にあった弓矢のくだりはなく、かわりにイスに縛り付けられており、より現実の体勢(イスに座っている)に寄せた体験となっていた。また振動体験装置のHapBeatにより、心拍を感じるようになっていた。痛みは予選同様に、温度差のある物体を触らせる事によって痛覚を発生させるサーマルグリル現象を用いている。断続的に痛みを呈示することで、ズキズキ感を出せているのに加え、この体験の後もしばらく痛みの余韻を感じれるが個人的にはよかったと感じている。
波面をつかって、そこに人がいる存在感を示す作品。足湯を少女の幽霊が歩いて入ってくるという設定であった。確かに水面を通して何かがあるいていく感じがあった。ただ、CGではすり足のように動いて居たが足で感じる感覚としては、足を高くあげて歩いているように私は感じた。また予選では水面の波動のみでの感覚呈示であったが、水を掛け合うための機構(小さなシャワー)が追加されていた。
HMDとマネキンが連動していて、外にいる人にとってはマネキンこそが攻撃を担当するプレイヤーとなっている作品。外にいる人はプレイヤーが攻撃されたら目を守ってあげる。プレイヤーの攻撃技は目からビームなので、ずっと覆いっぱなしではいけない。なお、手で覆っている間も、実際のプレイヤー視界が覆われるわけではないという配慮がされているが、どちらがより良いのかは正直判断がつかなかった。予選では頭部にプロジェクタを搭載していたため、覆うときに若干影ができたりする事もあったが、本選では視線方向を計算して、CG合成でスクリーンに視界をつくっていた。この変更でマネキンが軽くなったせいか動きはかなりしっかりしたものとなっている。プレイスタイルは「外から察して上げる」か中から「声をだして助けを求める」という風な感じになっていた。
自分が釣りエサになって、魚に食べられて釣り上げるという作品。予選との変更点で興味深かったのが、ストーリーの変更。魚となって泳いで食べられる。という体験から「揺れて、魅力的に見せて魚を誘って食べられる」という釣りのルアーのような体験に変更されていた。体験時間の短縮とともに、プレイヤーが「えっ?結局泳いで、何したらいいの?」と戸惑うのを大部減らせたと感じた。また、つり上げられる体験として足をロープで引っ張る機構も追加されていた。表彰では映像表現での工夫(大量の魚群をCompute shader駆使して書いたり、海中光源用のshader開発したり)という点も評価されていた。魚群はたしかに見ていて気持ちが良かった。
マンガにある、タメの表現をともなったシュートができる作品。最初数回は普通のシュートが打てて、最後にミラクルシュートを打つという体験になっている(おそらく、VRシュートの世界に慣れるため普通のシュートが必要)。予選ではダイラタント流体で自然のタイマーリリース機構をつくったり、ストッパーと足の間をゴムヒモで繋いだりしていたが、決勝では自転車のブレーキで足につながれたヒモを掴み、ヒモもゴム製のものではなく普通のヒモにちかいものになっていた。その他のシューズ周りも丈夫につくり替えられており、体験に必要な表現を損なう事なくできるだけ丈夫で簡易な機構にかえていた。もちろん、足が急にギュッと止まる事によるミラクルシュート感はきちんと体験できていた。
お尻のベルトと手すりの滑りで無限に滑り台を滑っている感じをだす作品。予選との違いはCGが大幅に改良されたこと。色々な世界を滑って回れるという感じがしました。手すり部分のローラーが大型化して、手すりのふりしてるけどローラーじゃん!感を減らすように改良されていた。CGがかなり急な下りなので、リアル側も速度感や傾斜がもっとあっても良いのでは?という気がしたが、安全生・実装容易性とのトレードオフだったのかもしれない。一周すると丁度お尻が熱くなってそろそろ降りたいという感じになるコースの長さ設定は程よく狙われいたと感じた。
なお、動画はIVRC公式YouTubeのものです。
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