前提: IoTに手を出すとき
自分で作品を作る時も、会社やMakerFaireみてても同じだけど、IoTに手を出すときは十分にThingsがコモディティ化してる時が多いです。例えば心拍だったり、天気だったり、はてはON/OFFスイッチだったり。理由は色々あるのでしょうが、コモディティ化してる=ハードだけなら他社でも作れるという事は意識したほうが良い所です。一般にコモディティは商売の敵!駆逐せよ!と指令が下るわけですし、勤め先では素直に従うわけですが、果たしてそうでしょうか?
IoTの分類
安いSIMプランが出る度にそこら中で「そこをIoTでなんとか!」と言われる訳ですが、どーやって考えたらええんでしょうか?世間で言われるIoTにも色々有ります。- その通信IPに切り替えて見た
「自宅のエアコンを外出先から ON/OFFできたら便利だよね」系です。単純に場所の自由度を上げます。比較的簡単に思いつくし、便利ですが、想像以上の成果は生まないのが通例です。 - サービス系
Fitbitとかです。個人的にはAirレジも近い製品だと思っています。装置としては心拍や体重など日々の記録を取る装置ですが、そこはあまり重要じゃなくてアプリでトレーニングの動機付けやったりだとか、そっちのほうが本質になっていて、IoTデバイスはパソコンで言えばキーボードのような入力デバイスになっているやつです。Airレジでいえば、レジの物理的部分のみをThingsとしてつくって、あとはクラウドに丸投げです。アプリありきの世界です。 - トリガー系
Yahoo MyThings等がそれに当たります。何かを検知したら、何かがおこる。例えばネコがうんこしたら、Twitterに「うんこナウ!かなり臭い、掃除よろしく」と通知がくるやつですね。
トリガー系は「いつも身近に居る奴(Twitter等)」が雑多な事も教えてくれる。逆にAlexaのようにいつもリビングに居る奴に話しかければ、指示を出すことが出来る。というふうにユビキタスに近い発想です。環境に広く存在するいろんなモノが、色々気が付いてアクションを起こしてくれる世界です。 - 産業用IoT系
普段はあまり縁ないかな? 1の「その通信IPに替えてみた」に近いのですが、どこのメーカーのでも繋がるのがミソです。
原始的な工場を想像してみましょう。複数の機械が電線でつながって連携しています。稼働状況をモニタリングしたければ、電線を分岐して監視室にある電球に繋げばOKです。そんな事を、世界に分散した工場で行うシステムが産業用IoTです。機械同士は共通の産業用IoT通信で繋がります。どのメーカーの機械も電線を繋ぐ感覚で繋がります(ちょっと大げさ)。インターネット経由で本社の管理部門とも繋がっているので「もっと急げ」とか「もうちょいゆっくり」だとかの指示や、消費電力だとかの情報も取れます。複雑そうに見せるけれども、各社共通なので設計する人にとっては電線一覧表をみて、電線を繋ぐ程度の作業になるやーつです。
他にも色々あるのでしょうが、まぁ、こんなもんでしょう。
IoT設計の切り口
そんな分類が解ったところで、IoTなネタ考えようと思ってもなかなか思いつきません。個人的なネタを出すのに使ってみて便利だった切り口を少し紹介します。2つ以上の出口
上の分類の3,4を見ると「他社が絡む」というのが特徴です。情報の出口(or入り口)にわざと他社サービスを使える分岐口が付いているのです。これは先人からの大きなヒントです。「情報を分岐する必要があるもの」を色々考えてみると逆にIoTらしいモノを考える事ができるかもしれません。例えば飲食店の着座センサー。お客さんには空席情報として提供できるし、お店には回転率などの経営指標確認に使えます。情報二つ以上の行き先があれば分岐が必要になってIoTである必要性がでたりするのです。
この発想法はの良いところは、コンピュータを知らない人にもIoTサービスの発案ができます。(実現可能性はおいといて)
「Things」より場所・時間が大切
もの作るのが楽しいからMakerやったりするわけだけれども、上にかいたようにコモディティ化したものって用途が決まってしまっているか、逆に何にでも使えてしまうものが多いです。前者は例えばパンツ、被る以外に使い道がありません。後者の例えが回路のスイッチ、何にでも使えます。IoT化の場合、後者の「何にでも使えるスイッチ」がターゲットになりやすいのですが、「何にでも使える」だと「安ければ使うけどね」になって、AmazonDash一強になってしまいます。なのでハード的にでもいいし、その裏で走るサービスとしてでもいいので、xxができるというのが大切になります。例えば、スマホをサーフボードに貼り付けて加速度センサーの値を取るとします。なんでもできる加速度センサーIoTデバイスですね。ここで加速度センサーのパターンを識別して、陸にいるのか、パドリング中なのか、波に乗ってるのかを判別できるAPIを追加したとします。こうやって発想の方向性を絞る事で初めて、波乗り中だけ録画する自撮りカメラ。だとか、陸にいるときだけ近所の地元の飲食情報流すとかアイディアが出る状態になるのです。
差別化(≒高付加価値化)の罠
そこまで、来てまわりにに説明すると「加速度センサーなんていくらでもあるから、なんか差別化しようよ」とか言われてしまいます。で、余計な機能をつけたり、差別化ポイントを強調する事がメインの謎製品ができあがります。高付加価値路線で進化の袋小路に入った哀れな家電を見る気分です。これが複数社が絡むIoTデバイスだとさらに悲しい感じになります。IoTは人間関係に似ていると個人的には思います。悪目立ちはする必要ないのです、適材適所にいてくれる。顔なじみなやつが使い易いのです。それはユーザからしてもですし、開発者からしてもなのです。いるでしょ、しっくりきたポジションに居て、なんだかんだでコイツじゃないとな〜っていうモノや人。「とりあえず接待ビール」ですよ。
ネタだしする時に差別化案が出てくるとつい引っ張られちゃいますが、一旦謙虚に「これ使って何が楽しいんだっけ?」って見つめ直すのも大切だと思います。
さいごに
とりあえず、私が考えてて、気が付いた事はこれぐらいです。ここに書くという事は、皆さんのIoTに関するアイディアだしのノウハウも知りたいって事です。おせーてください。
追記捕捉
コモディティ化が悪い事なの?だとか、差別化の罠について、ちょっと捕捉。異論は認めるけど、アイディアを出す段階では意識しちゃ駄目です。 既にある製品のちょっとした延命や、特許回避にはもちろん便利ですよ。でもアイディア段階でそこを意識するとクソなものができます。
理想の世界があって、それを自分の得意な技術で現実に落とし込む時に、どうしようもなく自然に発生する個性が差別化だと思ってOKです。差別化要因なんて現実に落とし込む時にどうせ出ます。自然にそういった差別化要因が出ないようなら、単にニーズがなさそうだから皆作ってないだけです。
VRに似てますよね、現実の本質だけを抽出して体験し、実質現実だとするのがVR。理想の世界の本質を見抜いて現実の実装に落とすのがアイディアだし。
天使の発想、悪魔の実装とか聞いた事ない人は以下の落合さんのLTみると良いかも知れません。
https://www.youtube.com/watch?v=Q5LxyRWyfCc
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