前回の続きです、どちらかというメカものの話
接合部の破壊
以下は、それぞれ両面テープでビニールシートを「人」の形に接着したものと、「二」の形に接着したものを引っ張って剥がしたものです。
いくつか気づきがありますね。「人」より「二」が強い。そう相手がビニールシートの時はそうです。「何故か」を考えるは割と有用です。
人の字を強くするために、両面テープを増やしてみましょう。
意味あるでしょうか?ありません。なぜなら、最初の1mmがはがれて、次の1mmが剥がれるといった風に結局剥離開始点に掛かる応力はどんなに両面テープを増やしても同じだからです。
では、材質が柔らかいビニールでなくて硬い板だったら?
応力は分散するので両面テープを2枚に増やす意味はあります。
剥離を考えるにあたっては「最大応力」が掛かる点で考えるのが大切なのです。
次ぎに「二」の字の接着について、もっと力をかけたいとします。接着面を増やせば接合面の強度は増えるでしょう。しかし「母材(ビニール本体)」側が痛んでしまっていますね。母材強度を超える接着ができている時に、接着で頑張ってもしょうが無いです。母材の強度をあげるか、大きさを大きくして母材にかかる応力を減らしましょう。
「接着強度は母材強度を超えてればそれで十分」それでも壊れる時は全体を見直しましょう。
ビニールの例だと解りやすいですが、木材のように部品の何処が痛んだが原因で、破壊に至ったのかを見抜くのが難しい部品もあります。関係無い所を強化する遠回りは慣れていてもやりがちなミスです。
ホットメルトグルーはプラスチックにくっつかない?
手芸などで便利なホットメルトグルー。フェルトにはよくつきますが、プラスチックにはあまり着かないという認識はみなさん持っているかと思います。この違いは、「材質」の問題ではなく「形状」の問題です。形が入り組んだものにはグルーが噛み込んでしっかり止まるのです。なのでグルーでどうしても止めたい時に、母材表面をヤスリで粗くしたりするのです。(参考:https://www.monotaro.com/p/1026/5133/)
ネジが緩む
振動がある部分をネジでとめていると緩みますよね。そんなときはバネ座金(スプリングワッシャー)を入れましょう。これも何故ネジが止まるのかを考えてみましょう。完全剛体の材料を固定する場合をまず考えます。ネジはネジ本体がバネのように伸びる事で、ばね定数kに応じた力がナットの溝に生じて、その力に由来する摩擦力でネジは止まります。
言うけど、ネジってそんなに伸びないですよね?
プラスチックや金属の板をネジで止めて、そこに衝撃が加わるとき、衝撃で一瞬板が縮んで隙間ができます。 その瞬間にネジが自由に回転します(板が微小に回転してるってのもありますが)。バネ座金は、その衝撃で生じる隙間を埋める働きをもっています。相手がもっとグラグラ、グニョグニョした物体だったら??バネ座金の伸び量では足りなくなりますね。柔らかい木材等でバネ座金やってもあまり意味がないのはそのためです。そんな時は、もっと面積の広い(自作)ワッシャーをかまして面積を広くすることでグニョグニョを低減したり、そもそもダブルナットや、ネジ止め材でナットを固定してしまいます。
回転軸の固定について
モータやポテンショメータ軸と、装置に固定された回転軸の固定。「回転軸を同軸に揃えるのは無理」という事を知らないと苦労します。また、ロータリエンコーダのように軽いモノは、軸をしっかりとめて、ロータリエンコーダ本体をプラ板のような柔らかいもので固定するという手もあります。
モータ選定の概算・検算にはワットが便利
「力×速度=仕事率(W)」「力×移動量=仕事(J)」アクチュエータの仕様書で「力」や「速度」を目安に選ぶと痛い目を見ます、検算として必ず仕事率(W)を確認しましょう。人間とインタラクションする装置は思いの外高出力になります。 特に足は注意です。VR系の研究で力覚に関する錯覚を研究しているのは、人間の出力がでかすぎて装置で押さえ込むのが現実的ではないという側面もあります。
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