2012年2月21日火曜日

工学系の就活生を見て思った事



先日リクルータやってきました。


学内セミナーなのにスーツ率高いよ!みんな真面目ですごいね~と思いながら会社案内してました。


ただ、一つ気になった事がありました。



みんな会社で即戦力にならなきゃって思い込みすぎ。



例えば会社で画像処理等の仕事をしたいという人がいても、良く聴いてみると、自分の専攻が画像処理なので画像処理の仕事以外は不安で・・・という人がいたりします。博士卒になるとさらに色濃くて、自分の研究・海外論文の発表実績や、「海外進出にはドクターの肩書きが重要」みたいな事で役立たなきゃと思いこんでる人もいます。


(念のため補足しておくと全員が不安なんじゃなくて「大概の事はできると思うから心配してない。どんな面白い仕事あんの?」って見事に達観した人もいます。)


心配になるのは分かるけれども、ちょっと冷静に考えてみましょう。私の勤め先はまだ終身雇用が色濃くのこる会社です。つまり35~40年近く働く事になります。35年という時間を考えたとき、2年or5年で身につけた技術そのものは重要じゃないのですよ。博士の方にはたしかに専門的な所を期待する場合も多い、でも10年後に会社の方針転換があってその事業から撤退したとしても貴方を雇い続けるのです。2年or5年で身につけた技術自体よりも、それらの技術を身につける事ができた、そのセンスを買ってると思ったほうがまだ的確です。


心配しなくても、みなさん卒論や修論で出来た事以上の事を仕事の中でできるポテンシャルを持ってると私は思います。会社もバカじゃないので、わざと無理な仕事をおしつけるって事は通常しません。会社は利益をだしたいのですから。学生の皆さんは目に見える成果だけじゃなく、その成果を出した自分の腕に自負をもってもいいと思いますよ。みなさんはそれぐらい優秀です。なので「不安だから」という理由で自分の専攻の仕事しかしませんと宣言する必要はないと思うのです。


もちろん本当にその専攻に入れ込んでいて、大好きで、その仕事をピンポイントでやりたいという人は別です。突き進んで楽しい世界を作って下さい。


ただ工学部で取れる博士は「哲学博士」である事からわかるように工学も哲学なんです。そう考えたとき修論・D論は多くの場合哲学を実践した結果の一つだと思いませんか?そして、その論文を書くために動員した工学者としてのセンスの源になってるものが貴方自身がもっている哲学だと思うんです。その哲学は一人が一つしか持っちゃけないなんてケチ臭い事はなくて、研究内容や自分の成長にあわせて変わってしまうものなのかもしれないですが。会社はどう思うかわかりませんが、一技術者としてその哲学は筋のよい技術を作るためにとっても大切だと思っています。


ちなみに個人的にもったいないなーと思ったのでココに書いただけで、勤め先の採用方針とは関係ないです。私はリクルータだけで面接の仕事はしてないので、そう思う現役技術者もいるんだな程度にお思い下さい。





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